クリスタルボウルの音を超本格的に計測してみました【後編】

クリスタルボウルの音は体感として「心地よい」ということが分かっていても、何がどう効いて(聞いて)心地よいのか分からないままでした。

その正体を探るべく、「無響室」という、音の反響が一切なく、外部からのノイズも完璧に遮断された空間において、超高性能なマイクでクリスタルボウルの音を計測してみました。日本最高レベルの設備を誇る場所です。

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前編はこちらから。

クリスタルボウルの音を超本格的に計測してみました【前編】

 

外界から完全に遮断された特別なゾーン。

完璧な静寂の中でクリスタルボウルの音だけと向き合う時間。

とても神秘的で、幸せな時間の中で計測されたデータは驚くべきものでした。

クリスタルボウルの音の正体

無響室の中にひとり、クリスタルボウルを鳴らしていきます。ドレミファソラシすべてのボウルを鳴らし終わり、無響室から出るとスタッフさんたちがPCの画面を見て難しそうな顔をしています。

「すごい結果になりましたよ」

「非可聴領域の音、どうでした?」

「それがですね・・・」

・・・なんと、クリスタルボウルの音には、耳では聞き取れない2万ヘルツを越えるような非可聴領域の音・超音波のようなものは一切含まれていなかったのです。10万ヘルツまで計測できるマイクなのに、一切ありません。ボウルの種類をいろいろ変えても、いずれも同じ結果でした。

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実は、計測するまでは「非可聴領域の音がたくさん含まれているから心地よい」という明快な結論になることを予測し、その非可聴領域の音がどのようなものかを解明する予定でした。だけど、現実はそうではなく、「非可聴領域の音が含まれていない」という衝撃の結果となりました。

ものすごく重要なことなので繰り返します。クリスタルボウルは超音波のような音は発していません。とある本に書かれていた「5万ヘルツで振動している」というのは完全に間違いでした。

体験とのパラドクス

これは、クリスタルボウルの音そのものには特殊な要素・特別なパワーは何もないということを表しています。しかし、クリスタルボウルの音を浴びると特別な体験ができてしまうというのは間違いのないものだと感じています。私のイベントへ来てくれた多くの人たちも同様だと思います。

音そのものには何もないのに、なぜ特別な体験ができるのか・・・。必死に考えてみました。

クリスタルボウルの音で本当に大切な部分とは

クリスタルボウルの音で特徴的なのは、「ゆらぎ」「残響」、そして複数個のボウルから音が出ることによる「包まれ感」です。心地よくゆらいでいくたくさんの残響音に包まれると、ゆるやかに意識が変化していきます。初めてボウルを目にした人(耳にした人)は「こんなに響くんですか!」と皆さん驚かれるほど、長い残響を持っています。

音そのものに何もないとすれば、この「ゆらぎ」と「残響」と「包まれ感」が作用しているのでは?と推測しました(あくまで推測です)。

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この仮説は「心地よいクリスタルボウルの音」と「心地よくないクリスタルボウルの音」の違いも明確に言い当てています。YouTubeなどでクリスタルボウルの演奏を見ていて、失礼ながらこの人はヘタだなーと思うのは、演奏のリズムが心地よくないために、不快なゆらぎ・不快な残響になっています。

もし、「耳では聞こえない何かが作用している」というのであれば、演奏のうまい・ヘタは関係ありません。適当に叩いていても同じように作用されるはずです。クリスタルボウルのスクールも不要でしょう。

しかし、実際は奏者のスキルで体験は大きく変わります。

残響室で再確認

「ゆらぎ」と「残響」の重要性の確認のため、音がまったく反射しない無響室とは反対の、すべての音がものすごく響く「残響室」へ入ってみました。トンネルや洞窟の中で音が響いて聞こえるのを強烈にした感じの部屋です。

「パンッ」と手を叩くといつまでも響いています。しゃべり声もワンワンと響き、「ここでボウルを鳴らしたら大変だろうな・・・」と思わせる場所でした。

そして、手を叩くことやふつうのしゃべり方ではなく、残響室の中で、ゆったりと・・・しゃべっていると・・・ゆたかな・・・残響で・・・ココロが・・・や・・す・・ら・・ぐ・・・のです。残響はココロに深く作用するようです(これはカラオケマシンの「エコー」を最大にすれば手軽に実験できるかもです)。

もちろん、「ゆらぎ」と「残響」が重要というのは今回の計測結果から考えられた仮説に過ぎません。ひょっとしたらまったく違う理由があるのかもです。しかし、耳に聞こえない「非可聴領域の音」が含まれていないということは明確に分かりました。

奏者のスキルがとても重要

私はどこかで「非可聴領域の音」のような目に見えない(耳に聞こえない)世界に期待していましたが、現実は違いました。

クリスタルボウルは鳴らすだけで効果が出るものではなく、奏者が意図的に心地よい「ゆらぎ」と「残響」と「包まれ感」を作る必要があるようなのです。これは奏者のスキルと密接に関わっています。

ひとつのボウルを片手でコーンと鳴らすだけや、コンカンコンカン叩きまくるという演奏ではなく、意図的に心地よい「ゆらぎ」と「残響」と「包まれ感」を作ること。

今回の結果は、自分自身の演奏スキルを向上させ続けるだけではなく、同じように演奏できる人を増やしていくことの重要性を痛感しました。ただ鳴らしているだけじゃ、やっぱりダメなのです。ボウルもひとつやふたつじゃ、やっぱりダメなのです。

真実に基づく演奏技術を拡げるために

私はこれまで「クリスタルボウルのスクール」のようなことを行うのは避けていました。私自身が誰かに習ったことがないし、私のまわりで積極的に活動している人も同じだし、やりたい人はほっといてもやるのだから、スクールなんて必要ないと思っていました。

しかし、クリスタルボウルは「ただ鳴らせばよい」のではなく、ボウル自信から不思議なパワーが出ているのではなく、奏者のスキルが体験へ直結することを改めて気づかされると、私が身につけてきた技術や知識を誰かにもっときちんと伝えていくのも大切だなと思いました。

ぶっちゃけ、肩書きだけすごくて演奏がヘタな人もいますし、「どうやっていいのか分からない」という人もたくさんいますし・・・。

 

2017年はクリスタルボウルの演奏について、どこよりも丁寧な、どこよりも実践的な、そして真実だけを集めたスクールぽいことを始めるかもしれません。

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追伸。

今回の計測は日本最高レベルのラボにおいてアメリカ・クリスタルトーンズ社のウルトラライトボウルを使用して演奏し、専任のスタッフが解析を行いました。

計測に関わったすべての皆様、本当にありがとうございました。

明日、もうひとつくらいオマケ話を書くかも。

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