共鳴する音、共鳴する場、共鳴する体

クリスタルボウルの演奏を行っていると、「この場所はこの音が響きやすいな」というのがあります。建物の構造(木造か鉄筋か、畳かフローリングか、正方形か長方形か)などで、ドレミファソ〜の音階の、どれが響きやすいかが変わってくるのです。

また、同じ場所であっても「今日のお客さんはこの音が響きやすいな」というのが不思議に存在します。同じ場所で同じように演奏しているハズなのに、音の伸びがまるで違うんですよね。

ひとつのクリスタルボウルの音を録音してスピーカーから再生すると、本来は鳴らしていないハズの目の前にあるクリスタルボウルたちが、勝手に鳴り出すことがあります。一瞬信じられないような、心霊現象のような、共鳴です。同じ音の周波数を受けて、勝手に鳴り出すのです。

場所の響きや人の響きも、この共鳴だと考えています。

その「音」と響きやすい場所や人であれば、よく響きます。そうでない場合は響きません。もちろん、響き方は不変なものではなくて、場所であれば湿度によっても変わるだろうし、人であれば着ている服の素材(やわらかい・堅い)やお腹の中身(空腹か満腹か)でも変わってくると思います。

また、人は声を発するひとつの楽器であると考えると、その人が発する声というのは、その人の体の構造から鳴らされている音であるわけで、その体という楽器に共鳴しやすい音というのは存在していると思います。

※HRTスタジオがやっている、「自分の声を録音して音楽に再利用する」という「HRT音声分析セッション」は非常に興味深いです。

音が響くからGOOD、響かないからBADというわけではなく、それだけ場所や人とは多様性にあふれているということです。

この世界に存在する自分以外のすべては他者です。圧倒的に多いのが他者とも言えます。

そんな他者の中から、なにか居心地がよく感じられる場所や人と出会えた場合、ひょっとしたらその人と、共鳴しあっているのかもしれません。その貴重な存在は、大切にしていきたいですね。

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